トピックス:立ち消えになった脂肪税

  • 2013年08月23日
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デンマークは世界に先駆けてトランス脂肪酸(マーガリンなどに多い)の摂取上限を決めました。ニューヨーク市長は、市内のレストランからトランス脂肪酸を締め出す布令をだし、欧米各国では足並みをそろえてその上限を決めたのです。日本はそれに追随するような気配がありましたが、消えてしまいました。企業の巻き返しが強かったのでしょう(トランス脂肪酸は別の機会に説明します)。

 

さてこのデンマークが2011年に脂肪税を導入し、飽和脂肪酸を2.3%以上ふくむ食品に課税することになりました。バターでは16%強、豚ミンチでは3.4%の価格上昇になり、魚でも課税されるものがでてきます。

 

半世紀前に、「飽和脂肪酸はコレステロール値を上げるので悪玉、リノール酸はそれを下げるので善玉」という説が出されました。それ以来、“飽和脂肪酸は健康に悪い”というイメージが定着しているのはご存じのとおりです。しかし、飽和脂肪酸は長期的にはコレステロール値を上げません。そして飽和脂肪酸が心疾患を増やすことを示す論文は無いのです。むしろ、飽和脂肪酸を多く摂取している人は、脳卒中が少ないことが示されています。

 

私達数か国の研究者は共同で、「飽和脂肪酸と心疾患を結びつける科学的根拠はありません」という意見を、英国栄養学会誌に発表しました(2012年2月)。おそらく、他の多くの反論があったのでしょう。この脂肪税は1年後に撤廃されました。

しかし、トランス脂肪酸の問題は多くの支持を受けています。日本人はトランス脂肪酸の摂取が少ないから大丈夫だという判断のようですが、環境ホルモン作用など、新しく報告された危険性を評価しなければなりません。

参考:Ravnskov Uら、Br J Nutr 2012; 107:455-7

 

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