理事長ごあいさつ

理事長 奥山治美 

“よい油、悪い油の常識”ほど, 大きく変わった分野は例がありません。動物性脂肪とコレステロールを悪玉とし、植物油を善玉とする栄養学は半世紀前に提案されましたが、完全に間違っていました。このような栄養指導を長く続けると、むしろ動脈硬化がすすみ、がんが増え、不慮死(病名のつかない死)が増え、寿命が短くなるのです。

ところが、新しい考え方はなかなか広がりません。コレステロールや動物性脂肪を悪玉にしておくほうが利益に結びつく強大な企業があるからです。

食品の分野だけではありません。薬の分野にも似た仕組みがあります。血中コレステロール値を下げても動脈硬化が抑えられないことがわかった今も、企業はコレステロールを下げる薬や食品を売り続けようとしています。スポンサーという大きな力でテレビや新聞にコレステロール悪玉説を流し続けているのです。まさに、太平洋戦争時に軍部と産業が手をくんで情報をコントロールし、国民を戦争に駆り立てていった状況とよく似ています。

しかし、世界の多くの国で、このような枠組みに抵抗する運動が始まっています。たとえば北欧の心臓血管学会誌の論説ではごく最近、「コレステロール仮説は間違っており、葬るべきときである」と発表しています。

私達のグループは特定の企業の思惑には左右されず、エビデンスのみに基づいて、健康に良い油脂(あぶら)を評価し、それをできるだけ多くの人に知らせようとしてします。皆さんのご参加を期待しています。

奥山治美略歴:東大薬卒、同大学院博士課程修了、薬博。東大薬助手、名市大薬助教授、教授をへて名誉教授。金城学院大・薬教授、特任教授をへて退職。客員教授歴(米国イリノイ大、米国ベイラー医科大、富山大・和漢医薬学総合研、中国大連医科大、大連大)。日本脂質栄養学会初代会長。